マンション管理費等(管理費・修繕積立金)の滞納が発生している管理組合の割合は,平成25年から平成30年までの間に年々減ってきてはいるものの,それでも3割以上の管理組合がマンション管理費の滞納問題を抱えています。特に,完成年次の古いマンションほど滞納があるマンションの割合が増えています(国土交通省:平成30年マンション総合調査)。
以下では,マンション管理費等の滞納問題の特徴と対処方法についてみていきましょう。
マンション管理費等の滞納問題の特徴(問題が深刻化する前に…)
マンション管理費等(管理費・修繕積立金)は本来,マンションの共用部分の清掃や修理,日常的な修繕から大規模な改修など,マンションを維持管理していくために必要な経費です。しかし,居住者の支払能力の低下や,居住者の高齢化等の理由により,管理費等を滞納してしまう場合があります。これはマンションの維持管理に影響が出てくるのはもちろんのこと,管理費をしっかり払っている他の居住者との不公平感も出てきてしまうため,滞納が長期化・深刻化する前に対策を講じなければなりません。
そもそも前提として,居住者の管理費に対する意識の低さも,滞納につながる場合があります。居住者が支出する管理費等は,自身の所有するマンションの価値を維持保全するためのものであり,そのために資金を確保する必要がある,そのような意識をまずは所有者全員で共有することが大切です。
マンションの管理費等はどのように請求したらいいの?
マンションの管理費等だけではありませんが,滞納された管理費等の回収のポイントは,「早期に対策を講じること」です。管理費等の回収には以下の方法があります。
1.書面(普通郵便・内容証明郵便)や電話等による請求
2.支払督促
3.少額訴訟(金額60万円まで・年10回まで)
4.通常訴訟
5.先取特権の実行(区分所有法7条)
6.特定承継人に対する請求(区分所有法8条)
上記の中でも,6の「特定承継人に対する請求」が特徴的で最も有効です。区分所有法8条では,「前条第1項に規定する債権(管理費等)は,債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行使することができる」とあります。すなわち,管理費等を滞納していた居住者が自分のマンションを誰かに売却した場合に,その新しい居住者にも滞納管理費を請求できるということです。
マンションの売買の際に,宅地建物取引業者が関与している場合,滞納管理費等については,重要事項となっているので,新しい居住者が滞納管理費等の存在を知らないということは少ないですが,自身が滞納していないものを払わなければならない,というのはなかなか受け入れがたいものです。管理費等の性質を含めて,居住者には丁寧に説明をしていく必要があります。
この他にも,マンションの滞納管理費等の回収でお困りの方は,当事務所へお問い合わせください!