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不動産の名義変更(登記)について
「亡くなった親が住んでいた自宅はどのようにして分ければいいの…?」
「親が所有していた収益不動産はどうしたらいいの…?」
「不動産の名義変更を含めて、相続手続きを一括してお願いしたい…!」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
亡くなった方が不動産を所持していた場合、相続人がその所有権を引き継いでいるため、不動産の名義変更(登記)が必要になります。
相続人が複数いる場合には、不動産を名義変更するにあたって、相続人全員で遺産分割協議を行い、その処分を決定しなければなりません。(遺産分割協議書については、こちらの記事をご覧ください。)
特に目ぼしい相続財産が土地のみである場合、相続人間で話し合いがうまくいかないと、不動産を売却してその売却代金を相続人間で分配しなければならない場合もあります。
あるいは相続した家屋が田舎にあり、相続人がどなたも相続したくないと考える場合、家屋がいわゆる空き家になり、様々な問題が生じるため、不動産の名義変更の他、空き家の処理をどのようにするかを早急に検討する必要があります。(空き家問題に関しては、こちらの記事をご覧ください。)
また相続登記の義務化や小規模宅地等の特例、空き家の特別控除など、不動産の名義変更を放置していると、特定空き家に認定をされてしまう・税制優遇が受けられない、などの不利益を被ることになりますので、早めに手続きをすることをオススメします。
以下では、不動産の名義変更手続きの概要について解説していきます。
不動産名義変更の手続きについて
預貯金口座の解約手続きと同様、亡くなった方が遺言書を残していた場合には、遺言書に書かれているとおりに手続きを執行すれば良いですが、そうではない場合には、以下のとおりに不動産の名義変更を行う必要があります。
①戸籍謄本等の収集
相続人全員でもれなく遺産分割協議を行うため、他の手続同様、戸籍謄本等の収集を行う必要があります。(戸籍謄本等の収集については、こちらの記事をご覧ください。)
②不動産情報の確認
相続対象不動産を全て把握しているのか、相続対象不動産がそのまま承継させていい状態なのかを調査するため、不動産の現在情報を確認します。
③遺産分割協議書の作成
亡くなった方が遺言書を残していない場合で、相続人が法定相続分以外の割合で不動産を承継する場合、相続人全員で遺産分割協議書を作成して管轄法務局に提出する必要があります。(遺産分割協議書については、こちらの記事をご覧ください。)
④必要書類の提出
上記戸籍謄本等や遺産分割協議書を含めた必要書類等を、相続対象不動産を管轄する法務局へ、登記申請書・登録免許税の納付と併せて提出します。(登録免許税については、こちらを参照してください。また登録免許税の計算方法については、こちらの記事をご覧ください。)
不動産の名義変更登記を申請するための必要書類等は以下の通りです。
☑戸籍謄本等一式(法定相続情報一覧図があれば、代用可能です)
☑相続関係図
☑遺産分割協議書
☑相続人全員の印鑑証明書
☑不動産を相続する方の住民票の写し
☑(代理人に依頼する場合)委任状
相続登記義務化について
これまで相続登記をいつまでに申請しなければならないという期限はなく、相続登記がされていなくても特に罰則規定もありませんでした。
そのため、
☑登録免許税がもったいないから登記をしない…!
☑どうせ長男が実家を承継していくから登記しなくても問題ない…!
☑よくわからない相続人がいるから、交渉ができない…!
というような理由で、相続登記がなされないこともしばしばでした。
また、相続登記がされないことが理由で、登記名義人の相続人となるものがどんどん増えていき、現在誰がその不動産を相続しているのかが分からない、「所有者不明土地」が社会問題となってしまいました。
そこで上記問題を解決すべく、令和3年4月21日「民法等の一部を改正する法律」および「相続等により取得した土地所有者の国庫への帰属に関する法律」が成立しました。(相続土地国庫帰属制度については、こちらの記事をご覧ください。)
これらの法律は、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から各関係法律を見直していこうとするものです。
令和6年4月1日より上記法律改正により、相続登記と住所等変更登記が義務化され、それらがされない場合には罰則が課されることになりました。
不動産の状況によっては時間がかかる場合もありますので、今まで放置していた相続登記がある場合には、早めに取り掛かっておくことをオススメします。
その他相続登記義務化については、こちらの記事をご覧ください。
相続財産に不動産がある場合の注意点とは
相続財産に不動産がある場合、不動産の性質上、注意するべき点がいくつかあります。
以下、その注意点を解説していきます。
① 不動産価値が高いと相続税が発生する
相続財産に自宅や賃貸物件(収益不動産)があると、その価値が高く、相続財産の総額が相続税の基礎控除額(=3000万円+600万円×法定相続人数)を大きく超える場合があります。不動産の価値によっては、相続財産だけでは相続税の納税が難しく、相続人が自己負担で払わなければならない場合があります。(相続税のしくみについては、こちらの記事をご覧ください。)
② 物理的に平等に分けることができない場合がある
不動産は現金や預貯金と違い、数量的に分けることが難しい場合があります。仮に相続人で共有したとしても、処分の際には全員の同意が必要なため、相続人間で意見が合わない、あるいは相続人の中で認知症や統合失調症等により売却の意思表示ができないリスクもあります。このように相続人で不動産を共有する場合にはリスクがあるため、不動産が一つしかない場合、実質的には相続人で平等に分けることが極めて困難です。
③ 専門家に依頼するかどうかによって結果が変わる可能性がある
不動産は、評価方法や売却見込みなど、専門家の知識を借りなければならない場面があります。またその中でも相続に強い専門家を選ばなければ余計な税金や費用がかかる場合もありますので、注意が必要になります。
その他、相続財産に不動産がある場合の注意点については、こちらの記事をご覧ください。
相続した不動産が空き家の場合の注意点について
「父親が住んでいた自宅が空き家になっているのだけど、どうやって相続したらいいの…?」
「母親が住んでいた自宅が田舎にあるけど、放置したら何か問題があるの…?」
「空き家問題を含めて、相続手続きについて相談したい…!」
このようにお悩みの方はいらっしゃいませんか?
亡くなった方が住んでいた、あるいは所有していた建物が空き家になって残っている場合、これを何もせずに放置していると、①老朽化による倒壊の危険や②税金の過大な負担、あるいは③犯罪の温床になる等、大きなリスクがだくさんあります。
その一方で空き家を一旦相続してしまうと、①リフォームや解体工事等の費用がかかるや②固定資産税等の固定費がかかる、③売却できずに次世代にまで責任を負担させる等、相続人に大きな金銭的負担がかかるため、相続する際には慎重に決断する必要があります。
すなわち、空き家を相続するかどうかは、単に不動産の名義を変更するかどうかを検討するだけでなく、不動産の価値や売却の見込みがあるかどうか、相続したことにより発生する税金等の費用がいくらかかるかを総合的に判断し決定する必要があるため、司法書士をはじめ、税理士や不動産会社等の専門家に相談が必要となります。
相続した不動産が空き家の場合の注意点については、こちらの記事をご覧ください。
相続した不動産の売却をする場合の流れとは
「母が亡くなって実家を売却したいけど、何から始めればいいの…?」
「相続した不動産の売却には、どんな費用や税金がかかるのか知りたい…」
「相続した不動産の売却を含めて、相続について専門家に相談したい…!」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
相続した不動産を売却する場合には、まずは亡くなった方の名義になっている不動産の名義を相続人へ変更する必要がありますが、その後の不動産会社への査定・媒介契約の締結、実際の売却代金の受取、税金の申告等、様々注意するべき点があります。
特に不動産の売却代金を相続税の支払に充てなければならない場合には、相続税の申告・納付期限である相続開始を知ったときから10か月以内に不動産を売却しなければならないため、スケジュールにも注意する必要があります。(相続税のしくみについては、こちらの記事をご覧ください。)
このように、不動産の名義から売却に至るまで、手続きや売却の手配、税金の申告までを一括してスムーズに行うためには、なるべく早めに税理士・不動産会社と提携している相続専門の司法書士へ相続した不動産の売却について相談する必要があるといえるでしょう。
相続した不動産を売却するときの流れと注意点については、こちらの記事をご覧ください。
当事務所へお任せください!
不動産の名義変更をするには、必要な書類の収集・管轄法務局への出頭・郵送など、面倒な手続きを一つ一つこなしていく必要があります。
そのため、ご自身で行うには少々ハードルが高いかもしれませんので、司法書士や行政書士等の専門家に任せてしまうのも一考です。
不動産の名義変更を含め、相続手続きや遺産の整理についてお悩みの方は、是非当事務所までご相談下さい!
その他の相続手続き・遺産承継手続きについては、こちらの記事をご覧ください。