「父親が所有していた自宅はどうやって分けたらいいの…?」
「相続した不動産を売った場合、どのような税金がかかるか不安…」
「不動産の手続きも含めて、相続について専門家に相談したい…!」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
総務省統計局の「住宅及び世帯に関する基本集計」によると、令和5年時点で総世帯数は5621万5千世帯、全国の総住宅数は6504万7千戸となっており、これは統計上1世帯1.16戸の住宅を保有しているということを表しています。
このように、不動産を保有している世帯が多いということは、保有していた方が亡くなると、必然的に不動産をどのように分割(=分ける)するかを決定し、名義の変更(相続登記)をしなければならないケースが多いということですが、不動産の性質上、現金や預金のように均等に分けることが難しい場合があります。
また、不動産の価値を適正に評価し余計な税金がかからないようにする、あるいは相続人間で平等に分けるために不動産を売却する場合に発生する譲渡所得税の計算の際に適用する特別控除を適用する等、税理士への依頼が必要になる場合もあります。
さらには、亡くなった方が地方の原野や山林・別荘地など売却困難な不動産(いわゆる「負動産」)を保有していた場合には、そのような不動産を速やかに適切な価格で売却していただける不動産会社の協力も必要となる場合もあるでしょう。
そこで以下では、相続した不動産で困らないための注意点とその解決方法について詳しく解説していきます。
このページの目次
相続不動産の3つの注意点|課題と対策
相続財産に不動産がある場合、不動産の性質上、注意するべき点がいくつかあります。
以下、その注意点を解説していきます。
① 不動産価値が高いと相続税が発生する
相続財産に自宅や賃貸物件(収益不動産)があると、その価値が高く、相続財産の総額が相続税の基礎控除額(=3000万円+600万円×法定相続人数)を大きく超える場合があります。不動産の価値によっては、相続財産だけでは相続税の納税が難しく、相続人が自己負担で払わなければならない場合があります。(相続税のしくみについては、こちらの記事をご覧ください。)
② 物理的に平等に分けることができない場合がある
不動産は現金や預貯金と違い、数量的に分けることが難しい場合があります。仮に相続人で共有したとしても、処分の際には全員の同意が必要なため、相続人間で意見が合わない、あるいは相続人の中で認知症や統合失調症等により売却の意思表示ができないリスクもあります。このように相続人で不動産を共有する場合にはリスクがあるため、不動産が一つしかない場合、実質的には相続人で平等に分けることが極めて困難です。
③ 専門家に依頼するかどうかによって結果が変わる可能性がある
不動産は、評価方法や売却見込みなど、専門家の知識を借りなければならない場面があります。またその中でも相続に強い専門家を選ばなければ余計な税金や費用がかかる場合もありますので、注意が必要になります。
相続不動産の分割方法3選|具体例で徹底解説
亡くなった方が遺言書を遺していない場合、相続人で話し合い不動産を何らかしらの方法で分割(分ける)必要があります。(遺言書がある場合の相続手続きについては、こちらの記事をご覧ください。)
以下では不動産の分割方法について解説いたします。
① 現物分割(不動産自体を分ける)
不動産をそのままの状態で特定の人に相続する方法、これを現物分割といいます。現物分割には、不動産以外にも財産がある場合、預金や株式などの有価証券をある相続人が相続する場合、 他の相続人が不動産を相続するように分割した場合も含みます。
例)父A名義の自宅は、今後引き続き母Bが住み続けるため、自宅はBが取得し、A名義の預金については、BCが取得することとした
② 換価分割(不動産を売ったお金を分ける)
換価分割とは、相続財産である不動産を売却し、得られた売却代金を相続人間で分割する方法をいいます。誰も住んでいない不動産である場合には、特定の相続人に相続させるのではなく、相続人全員(あるいは特定の相続人が便宜上取得する)で売却手続きを行い、代金を分割することによって、不動産から得られる利益を公平に分けることができます。
例)母B名義の自宅マンションは、相続人の誰もが住む予定がなかったため、子CDEは自宅マンションを売却し、売買代金を1/3ずつ取得することとした
③ 代償分割(不動産の代わりにお金を渡す)
代償分割とは、不動産を取得した相続人が、他の相続人に対して代償金(現金など)を支払う方法をいいます。この方法では、不動産の取得を希望する相続人が他の相続人に対して代償金を支払うことによって不動産を分割することができるため、現物分割や換価分割が利用できない場合に用いることができる方法です。
例)父A名義の自宅マンション(3000万円)において、今後母Bと長男Cが同居し、CがBの面倒を見ることになったため、Cは二男Dに対し、1500万円の現金を支払う代わりに、自宅マンションを取得することとした
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、また不動産の評価方法や不動産の売却金額の把握や売却見込みの有無等、専門家の知識や経験も必要になるため、不動産の分割だけではなく、総合的にアドバイスをしてくれる相続の専門家に相談すべきといえるでしょう。
相続した不動産の名義を変更する方法
亡くなった方が遺言書を遺していない場合、相続した不動産の名義を変更するためには、相続人全員で遺産分割協議を行い、その結果を基に相続登記を管轄の法務局へ行う必要があります。
相続した不動産の名義を変更するためには、次のような流れで進めていきます。
①戸籍謄本等の収集
相続人全員でもれなく遺産分割協議を行うため、他の手続同様、戸籍謄本等の収集を行う必要があります。(戸籍謄本等の収集については、こちらの記事をご覧ください。)
②不動産情報の確認
相続対象不動産を全て把握しているのか、相続対象不動産がそのまま承継させていい状態なのかを調査するため、不動産の現在情報を確認します。
③遺産分割協議書の作成
亡くなった方が遺言書を残していない場合で、相続人が法定相続分以外の割合で不動産を承継する場合、相続人全員で遺産分割協議書を作成して管轄法務局に提出する必要があります。(遺産分割協議書については、こちらの記事をご覧ください。)
④必要書類の提出
上記戸籍謄本等や遺産分割協議書を含めた必要書類等を、相続対象不動産を管轄する法務局へ、登記申請書・登録免許税の納付と併せて提出します。(登録免許税の計算方法については、こちらの記事をご覧ください。)
不動産の名義変更登記を申請するための必要書類等は以下の通りです。
☑戸籍謄本等一式(法定相続情報一覧図があれば、代用可能です)
☑相続関係図
☑遺産分割協議書
☑相続人全員の印鑑証明書
☑不動産を相続する方の住民票の写し
☑(代理人に依頼する場合)委任状
その他不動産の名義変更については、こちらの記事をご覧ください。
相続した不動産の売却を検討する場合には
相続人全員で遺産分割協議の結果、換価分割を選択した場合には、以下の点に注意しながら相続した不動産の売却を検討します。
① 不動産の評価額を確認する
相続人全員で話し合いを行うため、まずは不動産の評価額を確認します。遺産分割協議では後々トラブルにならないように「相続税の評価額はいくらになるのか」あるいは「不動産の売却金額はいくらになるのか」などを把握したうえで進めていくべきでしょう。
② 誰が不動産の名義人になるかを決める
売却する場合には、前述の通り、不動産の名義を相続人に変更する必要があります。相続人全員で売却手続きができるのであれば、相続人全員の名義にすればよいですが、相続人の中には高齢である、あるいは遠方であるとの理由から、便宜上相続人の一部に名義を変更する必要があるでしょう。その後は後述のとおり新たな名義人となった相続人が全員(もしくは便宜上の名義人となった相続人)で不動産売買の登記申請を行い、売却代金を名義人全員で分割します。
③ 不動産売却後に支払う税金をシミュレーションしておく
相続した不動産を売却した後には、(相続税申告期限内に売却した場合)相続税申告後、相続税の支払いや不動産売却の翌年には不動産の譲渡所得税の支払いを行います。特に不動産の譲渡所得税申告の際には、自己居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除や相続した空き家を譲渡した場合の3000万円特別控除などの適用がある場合がございますので、これらの控除を受ける場合には、事前に税理士のアドバイスを受けられることを強くオススメします。
相続した不動産を売却する流れ
相続人全員で遺産分割協議の結果、換価分割を選択した場合、以下の流れで売却を進めていきます。
① 不動産の名義変更を行う
売却する場合には、前述の通り、不動産の名義を相続人に変更する必要があります。亡くなった方の名義のまま売却手続きを行うことはできませんので注意が必要です。登記完了後には名義人となった相続人に新たな登記識別情報通知が発行されるため、不動産売却の際に使用します。
② 不動産会社等に売却の手配を依頼する
上記①の後、もしくは①と同時に相続した不動産の売却を手配いただける不動産会社を検討します。その際には、依頼した不動産会社と媒介契約を締結し、希望する価格を提示いただける買主を決定します。
③ 売買契約の締結を行う・売買代金を受領する
売却相手の決定後、その相手方と売買契約を締結し、その後売買代金を受領します。不動産の売却の際には、通常不動産の売買契約の際に手付金を受領し、その後数週間後に残代金を受領することがあります。最終的に売買代金全額を受け取るまでには売買契約締結後1か月程度かかる場合がありますので、相続税の納税を売買代金で行うことを検討している場合には注意が必要です。
④ 売買の名義変更(登記申請)を行う
相続した不動産の名義変更と同様、不動産の売却の際にも買主へ名義変更する必要があります。立会いを行う司法書士の指示に従い、①で発行された登記識別情報通知の他、名義人である方の印鑑登録証明書(発行日より3か月以内)を用意し、登記書類(委任状・登記原因証明情報等)に実印で捺印します。
上記の他にも、土地の測量が必要になる場合や隣人からの通行承諾等が必要になる場合があります。
想定通りに手続きが進まない場合もありますので、不動産の売却の際には早めに専門家に相談することを強くオススメします。
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