前回の記事でも書きましたように、相続人がいない場合が増えており、空き家問題や所有者不明土地問題が深刻になっています。(前回の記事はこちら)
その中でも本日は、相続人がいない場合に、相続人以外の方が亡くなった方の財産分与を要求する「特別縁故者に対する相続財産分与」の申立てについてご紹介したいと思います。
このページの目次
特別縁故者とは…?
特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者をいいます。
相続人捜索の公告期間内(3か月)に相続人である権利を主張する者が現れなかった場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は特別縁故者に対して、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます。
この特別縁故者にあたるかどうかは、もし被相続人が遺言書を残したのであればその者に財産を与えていたかどうか(主観性)、現実に被相続人とその者との間に存在した扶養・協力・寄与の程度(客観性)があったかどうか、縁故関係を参酌して分与の相当性があるかどうかを基準に判断されます。
具体的には以下のような者が特別縁故者にあたります。
☑ 30年以上にわたり、事実上の夫婦として内縁関係を結び、生活を共にし、被相続人の死後も葬儀を営んだ内縁の妻
☑ 被相続人と生計を同一にし、親代わりとして一切の世話をし、死後は祭祀を主催した叔父
☑ 被相続人の老後の相談相手となり、心臓病を患った被相続人の看護を尽くしたいとこの子
☑ 被相続人が生前時折墓参りに訪れ、無縁仏にならないように永代供養料を上納して往生を遂げたい旨を告げていた宗教法人
特別縁故者に対する相続財産分与手続きの流れとは…?
特別縁故者に対する相続財産分与手続きの流れは、大まかにいうと、以下のとおりです。
①分与の申立て(申立書の作成)
②審理手続き(相続財産管理人への通知・意見聴取等)
③分与の審判(審判の告知・確定等)
④分与の実行
なお、特別縁故者への財産分与の申立手続きは、相続人捜索の公告期間(民法958条)満了後3か月以内に行わなければならないので、注意が必要です。
因みに、申立人は分与の審判及び却下審判に不服がある場合、不服申し立ての手段として即時抗告をすることができます。
この即時抗告は審判の告知を受けてから2週間以内にしなければなりません。
特別縁故者に対する相続財産分与手続きにはどのくらいの費用がかかるの?
特別縁故者に対する相続財産分与手続きには、申立手数料として、800円の収入印紙を申立書に添付する必要があります。
またその他にも通信費としての郵便切手(具体的な金額は裁判所によって異なります)が必要になります。
この他、特別縁故者に対する相続財産分与手続きについてお困りの方は、当事務所へお問い合わせください!
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