「自分の親族には、遺産を渡したくない…!」
「どうせなら、自分が亡くなってから信頼できる団体に遺産を寄付したい…」
「寄付先の相談をできる専門家を探したい…!」
このようなお悩みをお持ちではありませんか?
ご自身の財産を相続する方がいない場合、あるいは相続人にご自身の財産を相続させたくない場合、ご自身が亡くなってからNPO法人や宗教法人などの団体に寄付するという方法があります。
これを遺贈寄附といいます。
遺贈寄付には、生前に寄付する方法、亡くなった後に遺言書で寄付する方法と、相続人に寄付してもらう方法(相続財産による寄付)があります。
遺贈寄付は、多額の財産をお持ちの方だけではなく、亡くなった時点の財産を寄付するので、残った財産を無理なく寄付することができ、昨今注目をされております。
しかしながら、どこの団体に寄付したらよいのか、あるいは寄付をするためにはどのようにしたらよいか等、お客様の遺贈寄付に対するハードルが高いことも事実です。
以下では、亡くなった後に遺言書で寄付する遺贈寄付について解説していきます。
このページの目次
遺言による寄付をする方法とは
ご自身に相続人がいない、あるいは相続人がいたとしても財産を渡したくない、という場合には、ご自身が興味のある社会問題に取り組むNPO法人等に亡くなった後、遺言によって財産を承継することができます。これを「遺言による寄付」といいます。
遺言による寄付は、遺言書内に寄付したい財産と寄附先の団体を下記のとおり記載しておく必要があります。
遺言書はご自身が自筆で記載する「自筆証書遺言」でも、公証人役場において公証人の面前において作成する「公正証書遺言」でも構いません。
遺言書の作成については、こちらの記事をご覧ください。
遺言による寄付をするときの流れ
遺言書を作成してご自身が亡くなった後に希望するNPO法人や宗教法人に対して寄付をしたい場合には、以下の通り手続きを進めていく必要があります。
①寄付する団体に関する資料を集める
まずはご自身が関心をお持ちの社会問題に注力するNPO法人を探すため、寄付先の団体に関する資料を集めていきます。一方で「どこに寄付したらいいか分からない」あるいは「自分が関心を持つ社会問題に取り組む寄付先を知りたい」という方は、日本承継寄付協会で発行する「えんギフト」を参考にしてみてください。(「えんギフト」については、こちらをご覧ください。)
②寄付する団体を決める
各寄付先候補の資料が揃ったら、いよいよ寄付先を決めていきます。寄付先は一ヶ所に決めることはなく、たとえ少額であっても複数の団体であっても、財産を寄付をすることができます。
③寄付先の団体に連絡をとる
実際に寄付先を決めたら、必ず寄付先へ連絡を入れるようにします。寄付する財産(不動産や負債を含む相続財産全部の場合など)によっては、寄付の受け入れが難しい、あるいは寄付の受け入れをできるかどうかの検討が必要になる団体もございます。
④遺言書を作成する
寄付先を決め、寄付先とのやり取りを終えたら、実際に遺言書を作成します。遺言書の形式は自筆証書遺言でも公正証書遺言でも問題ありませんが、寄付先以外にも相続人がいる場合には、公正証書遺言で作成することをおすすめします。
遺言による寄付をするときの注意点
遺言による寄付をする場合には、いくつか注意点があります。
以下、詳細を解説していきます。
①事前に寄付する団体に連絡をする
寄付する側からすると、良かれと思って寄付をしても、寄付を受ける団体としては取扱いが難しい場合があります。たとえば処分の難しい不動産(田舎のペンションや境界の分からない土地、原野や山林など)や相続財産を割合的に渡す包括遺贈(債務も含めて全ての財産を割合的に渡す方法)の場合には、寄付先によっては受け入れができない場合があります。ですから、NPO法人などへの遺贈寄付をする場合には、必ず寄付先へ連絡するようにしましょう。
②遺言執行者を選任する
亡くなった方が遺言書を遺している場合、その内容を実現する者がいないと、相続人全員が関与する必要があります。この遺言の内容を実現する者のことを「遺言執行者」といいます。遺言の内容に寄付を盛り込む場合には、相続人との兼ね合いでも遺言執行者を必ず選任するようにします。寄付先によっては、遺言書内に遺言執行者を予め選任するよう、求められる場合があります。(遺言執行者については、こちらの記事をご覧ください。)
③遺留分に配慮する
兄弟姉妹以外の相続人は、最低限留保される遺産の取得分があります。この取得分のことを「遺留分」といいます。せっかくの寄付も、相続人の遺留分を侵害してしまうほど多額の寄付をする場合、寄付先を相続の争いに巻き込んでしまう可能性があるため、注意が必要です。
④発生する税金に注意する
遺言による寄付をする場合、場合によっては思わぬ税金が発生する場合があります。発生する可能性がある税金は、
①相続税(基礎控除を超える場合)
②不動産取得税(不動産自体を寄付する場合)
③登録免許税(不動産の登記をする場合)
④みなし譲渡課税(不動産や株式などに含み益がある場合)
⑤法人税(一定の法人に寄付した場合)
になります。
それぞれの税金は、その税金を払うべき相続人と寄附先団体との間でトラブルになる可能性がありますので、注意が必要です。
遺言による寄付を受け付けている団体について
ここまで遺言による寄付について解説していきましたが、実際の寄付先の活動内容が分からないことには具体的にどこに寄付をしたらよいか分からないかと思います。
そこで、当法人ではNPO法人の活動内容を随時解説してまいりますので、是非ご覧ください。
当事務所へご相談ください
当事務所の代表司法書士・行政書士は、一般社団法人日本承継寄付協会の承継寄付診断士として活動しているため、遺言書の作成だけではなく、寄付先の選定や遺贈寄付をはじめとする寄付の方法などの相談いただくことが可能でございます。
その他の高齢者支援については、こちらの記事をご覧ください。