「亡くなった父親が遺言書を遺していたのだけど、どう手続きしたらいいの…?」
「母親が書いた遺言書は、まずどこに持っていけばいいの…?」
「遺言書がある場合も含めて、相続手続きについて相談したい…!」
このようにお悩みの方はいらっしゃいませんか?
亡くなった方が遺言書を遺している場合、その遺言書の内容どおりに相続手続きをしていきます。
しかし、遺言書の内容次第では、その内容を形にするための当事者や必要書類が変わってきます。
また遺言書の内容について、相続人同士で別の意見ある場合や相続人が納得いかない場合には、遺産分割協議や裁判手続きをすることができます。
以下では、亡くなった方が遺言書を遺している場合の相続手続きについて解説していきます。
このページの目次
亡くなった方の遺言書がある場合の相続手続き
亡くなった方が遺言書を遺している場合、遺言書の種類や内容によって手続きが変わっていきます。
遺言書が自筆証書遺言であった場合には、そのままでは相続手続きができず、自筆証書遺言を管轄の家庭裁判所に添付書類と併せて提出して、検認手続きをする必要があります。(検認手続きについては、こちらの記事をご覧ください。)
遺言書が公正証書遺言であった場合には、検認手続きは不要で、そのまま金融機関や法務局等へ提出することができます。
なお、自筆証書遺言であっても、自筆証書遺言保管制度を用いたものであれば、検認手続きは不要となります。
以下、詳細を解説していきます。
検認手続きとは
検認手続きとは、相続に対して自筆証書遺言の存在とその内容を知らしめるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。この手続きはあくまでも遺言書の偽造変造を防止するための手続きであり、遺言書の内容を有効とするものではありません。(遺言書の検認手続きについては、こちらの記事をご覧ください。)
遺言内容の執行方法について
遺言には、特定の財産を相続させる特定遺贈や相続させる割合を定める包括遺贈、相続財産を売却して承継する清算型遺贈があります。特に包括遺贈については、遺言書があった場合でも財産を承継する方(受遺者)で遺産分割協議を行う必要があります。
遺言書がある場合の相続手続きに必要な書類
遺言書の相続手続きに必要な書類は、遺言書に遺言執行者が定められているかどうかによって異なります。以下、それぞれの場合の必要書類になります。なお、提出先によって追加で書類を求められる場合がありますので、ご了承ください。(遺言執行者については、こちらの記事をご覧ください。)
ⅰ)遺言執行者が定められている場合
・公正証書遺言または検認済自筆証書遺言
・亡くなった方の除籍謄本
・亡くなった方の除票
・遺言執行者の印鑑証明書
・(不動産登記申請の場合)不動産を取得する方(相続人である場合)の戸籍謄本
・(不動産登記申請の場合)不動産を取得する方の住民票
ⅱ)遺言執行者が定められていない場合
・公正証書遺言または検認済自筆証書遺言
・亡くなった方の除票
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・(不動産登記申請の場合)不動産を取得する方(相続人である場合)の戸籍謄本
・(不動産登記申請の場合)不動産を取得する方の住民票
遺言書の内容とは異なる分割方法とする場合
亡くなった方が遺言書を遺していたとしても、遺言書の内容次第では、相続人の方で別途手続きをする必要がある場合や相続人の意思で内容を変更することができる場合があります。
以下、詳細を解説していきます。
遺言書に記載のない財産がある場合
遺言書に記載のある財産に関する相続手続きは遺言書どおりに行いますが、遺言書に記載のない財産については、遺産分割協議によって相続手続きを行う必要があります。遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一人でも欠けると無効になりますので、注意が必要です。(遺産分割協議については、こちらの記事をご覧ください。)
相続人全員の合意がある場合
亡くなった方が遺言書を遺していても、相続人全員が合意する場合には、遺言書とは異なる分割方法によって相続手続きを行うことができます。
遺贈を放棄する場合
遺言書の財産を引き受ける方(受遺者)は、自らその遺贈を放棄することができます。受遺者がその財産を割合で引き受ける(包括遺贈)場合、受遺者は相続人と同一の権利を有することになるため、遺贈を放棄する場合には相続放棄と同様、亡くなった方の受遺者であることを知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。受遺者が特定の財産を引き受ける(特定遺贈)場合、いつでもその遺贈を放棄することができます。
遺言書の内容に納得がいかない場合
亡くなった方の遺言書の内容次第では、財産を受け取る方以外の相続人にとっては、納得のいかない場合もあることもあります。
以下では、遺言書の内容に納得がいかない場合の手続きについて解説していきます。
遺留分侵害額請求とは
亡くなった方の遺言書の内容が特定の相続人等に一方的に有利であった場合(ex.長男に全財産を相続させる等)、兄弟姉妹が相続人となる場合を除き、相続人が最低限取得できる取り分(遺留分)として、一定の額の金銭の支払いを請求することができます。遺留分は請求する方が配偶者や子である場合には、法定相続分の1/2、両親である場合には法定相続分の1/3が遺留分となります。その遺留分を下回る場合については、その侵害額を財産を受け取った方へ請求することができます(これを遺留分侵害額請求といいます)
遺産分割調停とは
亡くなった方の遺言書について、相続人間で話し合いがつかない場合には、家庭裁判所の遺産分割の調停または審判の手続きを利用することができます。特に上記遺留分侵害額請求について、当事者で話し合いがつかない場合には、管轄の家庭裁判所において当事者の事情を聞き取り、必要に応じて資料を提出しながら、合意による話し合いを目指していきます。なお、調停では解決できず不成立になった場合には、自動的に審判手続きが開始され、裁判官が遺産に属する物または権利の種類および性質その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。
当事務所へお任せください!
亡くなった方が遺言書を遺していた場合には、遺言書どおりに相続手続きを行うことができ、通常の相続手続きよりも必要になる書類が少なくなります。
しかし遺言書の内容次第では、せっかく遺言書を書いても、十分に効力が発揮されず、場合によっては遺言書の内容がかえって相続人間で紛争の種になってしまうことがあり、遺言書作成の際には専門家のアドバイスを受けておくことが望ましいです。
当事務所は相続、遺言書作成支援業務を中心とした事務所でございますので、数多くの相続手続き遺言書作成支援を経験してきております。
遺言書がある場合の相続手続きについて、あるいは遺言書の作成についてお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
その他の相続手続き・遺産承継手続きについては、こちらの記事をご覧ください。