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相続放棄をした方がよいケース
「親族が多額の借金を残して亡くなったのだけど、相続放棄はした方がいいの…?」
「音信不通だった兄弟が亡くなって相続人となったのだけど、相続放棄はした方いいの…?」
「親が田舎に自宅を残したまま亡くなったけど、相続放棄はしていいの…?」
このようにお悩みの方はいらっしゃいませんか?
親族が亡くなり相続人となった場合、財産が多い場合には相続人全員と話し合い、相続財産を分配する遺産分割協議を行うことになりますが、場合によっては相続放棄を選択した方よいケースもございます。(遺産分割協議については、こちらの記事をご覧ください。)
以下では、相続放棄をした方がよいケースをご紹介していきます。
①借金が多額に及ぶ場合
亡くなった方の財産が預貯金や有価証券などのプラスの財産よりも、借金・負債などのマイナスの財産が明らかに多い場合には、そのまま引き継いでしまうと、相続人が債務整理をしなくてはならないため、相続放棄を検討するべきでしょう。
②相続人が多く、紛争性が高い場合
亡くなった方に財産がある程度あったとしても、相続人が複数いる場合には、全員で遺産分割協議を行って、それに従い財産を分配する必要があります。
相続人全員で話し合いがまとまれば問題ありませんが、万が一折り合いがつかず遺産調停などの裁判手続きを行うことになると、否応なしに相続紛争に巻き込まれることになります。
相続放棄は相続人の一人からでも申述が可能ですので、相続財産次第ではありますが、そのような面倒事に巻き込まれたくない、ということであれば、相続放棄を検討するのもよいでしょう。
③遺産を特定の方へ承継させたい場合
相続人全員の中で、特定の相続人へ亡くなった方の財産を承継させることが決まっているのであれば、相続放棄をすれば財産を分割するために遺産分割協議をすることなく、相続財産を承継することができます。
亡くなった方の財産がどれだけあるか分からず、財産を承継する気がないのであれば、財産が発見される度に遺産分割協議を行うのも迂遠ですから、相続放棄を検討してもよいかもしれません。
ただし、相続放棄は一度申述してしまうと、原則的に取り消しができませんので、慎重に決断する必要があります。
相続放棄をしない方がよいケース
相続放棄は一度申述すると、撤回することが原則できません。
ですから申述する際には、よく検討してから行う必要があります。
以下では、相続放棄しない方がよいケース、あるいは少し検討した方がよいケースをご紹介していきます。
①プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多い分からない場合
亡くなった方とあまり交流がなかった場合、いきなり相続放棄をしてしまうと、結果隠れた預貯金口座が発見されるなど予想以上にプラスの財産が借金・負債などのマイナスの財産を上回る可能性があります。
この場合には、相続放棄を選択せず、相続人全員と話し合いをして、限定承認などの手続きを取るべきでしょう。(相続するかどうか迷っている場合については、こちらの記事をご覧ください。)
②相続放棄をした結果、相続人が変わり問題となる場合
相続放棄をすると、その申述人は始めから相続人ではなくなるため、場合によっては次順位に相続人の権利が移る場合があります。
その旨をしっかりと伝えれば問題ありませんが、相続放棄をすることによって別の問題が生じる可能性がありますから、そのような事態にならないよう相続放棄を慎重に検討するべきです。
③相続放棄した結果、相続する人が誰もいなくなる場合
相続放棄をすると、その申述人は始めから相続人ではなくなるため、他の相続人へと相続権が移ることになりますが、相続人が相続放棄をしたことによって相続人となる人が誰もいなくなってしまった場合、問題が生じる場合があります。
例えば、相続放棄をしたことによって亡くなった方が所有していた建物に所有者となるべき者がいなくなってしまった場合、その建物(いわゆる空き家)に生じる責任(隣家への越境・倒壊による被害)は相続財産管理人が選任されるまでの間、相続放棄をした人が責任を負うことになります(民法第940条)。
この場合には相続放棄をする前に、しっかりと問題が生じないかどうかをじっくり検討した上で、慎重に相続放棄をするべきでしょう。(相続人がいない場合の相続手続きについては、こちらの記事をご覧ください。)
上記のとおり、相続放棄をするべきかどうかは慎重に判断するべきですが、自己のために相続があったことを知ったときから3か月以内に判断しなければならないため、事案によっては難しい場合があります。
相続放棄ををするべきかどうかについて、3か月以内に判断できない場合には、相続放棄ができる期間の伸長を求めることもできますので、相続放棄を検討されている方は、まずは一度当事務所へご相談下さい。(相続放棄ができる期間の伸長については、こちらの記事をご覧ください)
当事務所へお任せください!
当事務所では、後見等開始申立書や相続財産管理人選任申立書など、裁判所提出書類作成業務も多く取り扱っており、裁判所においてどのようなポイントを重視して判断しているかについてノウハウを持っております。
相続放棄をした方がよいケースなのか、しない方がよいケースなのか、事案によっては専門家の意見を聞いてから判断した方が良い場合も多くございます。
相続放棄手続きを少しでも検討されている方は、是非一度当事務所までご相談下さい!
その他相続放棄に関しては、こちらの記事をご覧ください。