占有移転禁止の仮処分について

占有移転禁止の仮処分をするメリットとは?

訴訟手続きを進めている最中に借主が他人に建物を引き渡してしまうと、せっかく勝訴判決を得ても、その他人に対して判決の効力を主張することができなくなり、建物の明け渡しを請求することができなくなってしまいます。

そこでこのようなことが起こらないよう、実務上「占有移転禁止の仮処分」という手続きを取る場合があります。

占有移転禁止の仮処分とは、借主に対し建物の占有を他人に移転させることを禁止し、仮に移転させても、その占有者に対して建物の明渡しを請求できるようにする手続きをいいます。

借主が他人に引き渡す可能性がある場合には、この占有移転禁止の仮処分をしておいた方が安全で、この手続きを行うメリットがあります。

占有移転禁止の仮処分は以下の手順で行っていきます。

 

申立準備

占有移転禁止の仮処分の申立ての前提として、占有状態の調査を行います。

占有移転禁止の仮処分の手続きにおいて、直接占有者(他人を介することなく直接建物を占有している者)だけを相手方とするので、誰が直接占有者であるかが重要で、加えて建物の明渡請求訴訟の際の被告にもなるので、しっかりとした情報収集を行います。

申立て資料が整い次第、申立書を作成し、管轄内の裁判所に申立てます。

 

審理・立担保

裁判官は提出された申立書と資料を見て、占有移転禁止の仮処分をする必要性をあるかどうかを判断していきます。

ですから、申立てをする上で申立人は、報告書などの資料を提示し、裁判官と面談をして、自分にその権利があることを裁判官に対して疎明(一応確からしいと思わせること)していきます。

この面談には、当事務所の司法書士が代理人として出頭します。

そして担保を立てさせる必要性があると判断された場合、この面談の場でその額と担保を立てる期間が決まります。

担保すべき金額は一般的に、賃料の3か月から6か月分、物件価格の1%から5%といわれ、担保提供期間は3日から7日の範囲内といわれていますが、ケースによって異なります。

担保の提供は一定の管轄区域内の供託所に供託します。

この供託手続は、裁判所の決定から可及的速やかにする必要があります。

供託手続に関しても、当事務所の司法書士が代理して行います。

 

決定・保全執行申立

供託金の入金が確認されると、裁判所から保全命令が発令されます。

占有移転禁止の仮処分は、保全命令が送達された日から2週間以内に申し立てないと執行することができないので、発令された保全命令が送達され次第、管轄内の執行官に対して占有移転禁止の仮処分の申立てを行います。

 

保全執行

占有移転禁止の仮処分の申立てがあると、執行官は現地に臨場し、目的物である建物を誰が占有しているかを確認します。

執行官が借主に対して建物を執行官保管する旨を告げ、以降の占有の移転を禁止する処分がなされます。

 

占有移転禁止の仮処分以外の建物明渡請求については、こちらを参照して下さい。

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