債権回収の注意点とは?
近年ペットは飼い主にとってかけがえのない存在となっており、少子化も相まってペットへの支出金額も年々増えてきています。
今や飼い主にとってペットは単なる動物ではなく、まさに家族の一員といえるでしょう。
このような状況下の中で、ペットに関するトラブルやペットに関する法律相談も併せて増えてきています。
「ペットが交通事故にあった…!」
「相手方のペットにうちのペットが怪我を負わされた!」
「ペットのトリミングが思うようになっていない…!」
この他にもペットの高齢化も進み、動物病院様に持ち込まれる問題も様々かと思います。
ですから、飼い主にお金がなく診療報酬が払えないという場合の他にも、当事者同士で揉めている、訴訟中であるなど、様々な事情で診療報酬が未払いである可能性があります。
ペットの診療報酬を回収するためには、単に支払いを催促するだけではなく、飼い主の言い分も聞きながら根気強く未払いの診療報酬を請求していく必要があります。
さらに診療報酬の消滅時効は通常の債権と違い、時効が3年(※)であるため、手をこまねいていると時効により債権が消滅してしまいます(民法170条)。
このように飼い主からの支払いがない場合は、迅速に債権を回収していく必要があります。
(※)2020年4月1日以降に発生した債権に関しては、時効が5年となります。
債権回収の流れとは?
当事務所ではまず動物病院様の信用を守るため、いきなり強引な方法で債権回収を行うことなく、電話等で飼い主に対してなぜ診療報酬が払えないのか事情を聞いてまいります。
その上で請求書等を送付し、飼い主の支払意思の有無も確認していきます。
この段階で未払いの診療報酬の金額が少額であればあるほど、また未払いの期間が短ければ短いほど、回収できる可能性は十分にあります。
また飼い主の支払能力を鑑みて、一括で全額の支払いは難しくとも、月々支払えるだけの金額を請求する分割支払いを促していくことによって、結果として全額の支払いを約束させることも可能となります。
しかし、請求書を送付するだけで支払われる場合ばかりではないため、請求書を送付しても支払われない場合は、内容証明郵便にて催促・請求をしていきます。
内容証明郵便とは、「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」を郵便局が公的に証明してくれる郵便です。
普通郵便による催促よりも、動物病院様の強く明確な意思を伝えることができるため、飼い主に対してより強い心理的プレッシャーを与えることができます。
飼い主からの任意の支払いが難しい場合は、支払督促・少額訴訟・通常訴訟と裁判所を通して手続きをしていくことになりますが、ある程度の費用と時間が必要になってしまいます。
ですから、どのような手続きを取るか、実際訴訟を提起するかどうか、回収する債権の金額と飼い主の支払状況を考慮して、動物病院様とじっくりと検討しながら進めてまいります。
訴訟に勝つと、飼い主の財産を強制的に差押えることもできるようになります。
しかし差押えに関しても、ある程度の費用と時間が必要になりますし、実際に飼い主に目ぼしい財産がないことも多いため、ケースによっては差押えが功を奏しない場合もございます。
実際に強制的に財産を差押える場合にも動物病院様とじっくり検討しながら進めてまいります。
いずれにしても、債権回収を行うためには法的な知識や経験がないと難しいため、司法書士などの専門家に依頼した方が安心です。
ペットの診療報酬の回収でお困りの方は、是非当事務所へご相談ください!
その他債権回収に関する注意点については、こちらをご参照ください。